日本の原風景とも言える茅葺屋根のある田園風景。かつてはどの地方でも見られた大らかな茅葺屋根が今、少しずつ消えつつあります。日本人の暮らしが変わり、葺き替えのための相互扶助組織が失われたことにも一因がありますが、大きな要因は新築建物の屋根材として使用が認められていないこと。
昨今ヨーロッパでは持続可能な建築材料として意識の高い人々から支持を受け、新築の茅葺屋根が増えていますが、日本は消防法により特定の観光エリアにある特例区でしか新築が認められていません。
減っていく一方の茅葺屋根を次の世代の景色に残したい。
佐藤茅葺店の職人一同は、そんな思いを胸に日々の仕事に取り組んでいます。
佐藤茅葺店の仕事のほとんどは既存建物の茅葺屋根の修繕工事です。一般の民家から重要文化財の建物まで、声がかかれば全国各地へ赴きます。
昔からの茅葺き職人のスタンスと同様に、夏期は兼業農家として、冬期は長期出張で様々な茅葺屋根の補修工事に当たってきました。 職人の仕事は親方から弟子に伝えられるものです。代表の佐藤偉仁は若手職人と一緒に全国に赴きます。
通年で収穫できる茅はサスティナブルな建築材料です。しかし建設費や維持費のかかるため、最小限の修理で維持する家屋がほとんどで、新しい屋根を下地から組む技術を伝える機会はほとんどありません。
茅葺屋根の魅力を伝え、本来の茅葺きの技術を継承したい。「運べる茅葺小屋」はそんな思いで職人が考案しました。とんがり帽子をかぶった茅葺屋根の小屋が大小2種。形はかわいいけれど茅葺職人と宮大工の仕事が活きた本格派です。
古くなった「茅」は細かく粉砕し、様々なものへ再使用されます。中でも田畑の肥料となる「かやチップ」は粒が大きく、土と混ぜると土壌に隙間をあけます。そのため通気性や保水性に優れ、土壌の改良に最適です。
佐藤茅葺店ではスタッフを募集しています。私たちの活動に興味のある方、やる気のある方、お気軽にご相談ください。